水質調査、騒音振動測定など環境調査は、関西環境リサーチ株式会社にお任せ下さい

「語」業界用語
意味の正確さにこだわらず、通称(現場での呼び方)もご紹介。
 
 2023/02/02   (05/52週) フルなか
朝礼などで、「今日は『フルなか』ですね」などと言います。
フルになか(中)、つまり1日中、技術員全員が社内のラボ作業に従事するという意味です。

もし当社の技術部が「出張要員」「分析要員」と分けた組織であれば、フルなかという表現に出番は無いでしょう。(分析要員はいつも終日社内なので)

フルなかの日は、作業服でなく白衣を着たりします。

 
 2021/08/28   (34/52週) ナカが止まる
自社社屋内にあるラボでの分析作業が止まること。

用例:
「全員、ソト(出張サンプリング作業)に出てしまうと、ナカが止まる」
「大型連休に一斉休業すると、ナカが止まる」

持ち帰った検体を分析する際、その工程は複数工程に及びます。それらを多数案件、労働集約的にさばいていく様子は、調理場の作業によく似ています。(料理用のタイマーのアラームに呼ばれては、人が次の工程に進めていく)。

「出張しない技術員」が基本的にいない当社の場合、ラボに1人も居なくなってしまうと、分析作業が止まってしまいます。このロスタイムは、最終の成果物である報告書の完成日程に直接影響するので、注意を要します。

 
 2021/05/15   (19/52週) 業界紙からキーワードを拾い読む
当社が入会し、定期購読しているJAWE(ジャウエ/日測協)の機関紙『作業環境』の最新号(2021年5月号)に目を通しました。

「目を通す」といっても営業員の私のそれは、いたってお粗末。お客様のお話を聞く際の素養を得るため、(あとは技術員との対話で補充できるような)キーワードを拾うことが目的です。
本号は、なかなかに太いテーマを感じさせる紙面構成でした。(以下、当方の解釈に偏りがあるといけないので、詳細出典はひかえてご紹介します。)

巻頭記事は、さる2月にリモート開催されたJAWEのセミナー(当社も技術部が受講)の内容紹介でした。
編集後記では、「忙殺」(@)という表現が見られました。
この2つの記事に共通する内容は、溶接ヒューム法改正にもとづく「個人ばく露測定」(A)です。

また、巻頭言では「自律的な管理」(B)という表現、そして「私もひとこと」コーナーでは、「自主対応型」(C)という表現が目にとまりました。

これら@ABCのキーワードから、いま労働安全衛生の管理手法(とりわけ中小企業にとっての)が転換期を迎えている雰囲気を感じました。

もしかすると、現在とても対応にてこずっている「個人ばく露測定」にどれだけ本腰を入れて取り組んだかによって、われわれ測定機関が今後の転換期に対応する出来ばえに、大きな開きが出るのではないか? と思われました。

日測協認定オキュペイショナルハイジニストという資格の取得者を、できれば測定機関ごとに1名は確保することが望ましい……といわれますが、その理由もなんとなく感じ取れた紙面構成でした。

 
 2020/10/24   (43/52週) ちびポン
小型で正式名称が加圧ポンプという機材は、L-V(ローボリューム・エアサンプラー)よりも小さいことから、通称でミニ・ポンプ、職場の愛称で「ちびポン」と呼ばれています。

採取現場で空気を丸ごと、もしくは空気中の成分を採取するために、私どもの業種ではポンプに類する機材を使っています。
先週はその数種類あるポンプ機材のうち、ちびポンを1台新規で更新しました。(アルバック機工(株)製 DAP-15 排気速度が関東圏50Hz換算で15L/min 流量調整バルブ付き)。

ちびポンの特性は、水を含んだコンディションの空気に強いこと(吸引する手前に、水対策のトラップが要らない)。そのため、当社では排ガス測定におけるオルザットガス分析(のための採取)に用いています。

 
 2020/05/09   (19/52週) 圧力損失計算表
局所排気装置を新設する際、据付工事着工の1ヶ月以上前に労働基準監督署に工事を届け出ることが義務付けられていますが、その際の提出書類のうち、最も主役となるのが「圧力損失計算表」です。

局排は、発散源を狙ったフードのところで「定常吸込み気流」を作るために排気のダクト系(配管経路)を設けてファンを動かしますが、フードに要求される法定制御風速を満たすにあたり、「そのダクト系の『圧力損失』を勘定に入れても、このファンの馬力で規定の風速は出ます」という、製作前の机上計算も満たしておかねばなりません。圧損計算表はその計算をした証しとなる表のことです。

なお、この計算表をもとに確認すべきことが他にもあります。

◆流速が落ち過ぎないか
粉じん作業場の局排の場合、気流の速度が遅すぎる区間がダクト系の一部に出来てしまうと、そこに粉じんが堆積するリスクがあります。それを回避するためには、ダクトの太さをより細く設計したりします。

◆「静圧バランス」がとれているか
複数のフードからダクトが合流していくようなダクト系の場合、空気は自分が通るときの「ひっかかり」が少ない管ばかり狙って通ってしまうので、特定のフードはほとんど吸っていないような設備になる恐れがあります。それを回避するため、計算表では主ダクト・枝ダクトごとに静圧を小計し、そのばらつきが少なくなるよう設計します。(※実機の微調整はダンパーにより可能)

届出申請は工場など事業主が主体的に行うのですが、「圧力損失計算表」については専門的なので、もちろん設備業者(メーカー)が代理で用意します。

ちなみに私ども測定機関が定期自主検査を代行で請ける際、お借りできる場合は届出申請時の書類をインプット情報として拝見します。その際、けっこう間違った内容のものもあります。私は異なる設備業者殿の作成した圧損計算表で、ファンの上流(吸込み側)の静圧がプラスになっていたり、圧力損失がマイナスになっている例を見たことがあります。

ファンの前後のダクトを漫画チックに描くと、吸込み側では細くなり、吹出し側では太くなります。すなわち静圧(空気がダクトの内壁を押す力)はファンの上流では負圧でないと、おかしいですね。又、圧損は空気の通るときのひっかかりですから、管内が負圧だろうが正圧だろうが、プラスとして存在しないとおかしいです。

こういう書類でも、監督署の受理印が押してあります。(※受理は仮受けですからそれで良いのですが、審査後に差し替えを命じられなかったのでしょうか?)

設計とは、行きつ戻りつしながら良い形にたどりつく行為なので、書類を作成する側も、表のエクセルに潜んでいた演算式などを鵜呑みにしないことも、大切かと思われます。

 
 2020/03/28   (13/52週) 試料名の不一致を避ける
作成した分析結果の報告書・証明書が、提供後に「差し替え」の発生する場合があります。
その原因の1つに、分析精度とは関係のない「試料名の不一致」というのがあります。(作業環境測定よりも環境計量の分野で発生)

依頼主であるお客様が「プラスターボード」とおっしゃったサンプルを「石膏ボード」と記載して報告した場合は、不一致にならずに通るかもしれません。なぜなら、内容的に同じものを指しているからです。しかし、「ケイカル板」と記載した場合、ものが違いますので、不一致に該当します。

断熱材でも、ロックウールとセラミックファイバーは不一致。人造でシリコン系の繊維という意味では共通していますが、後者にはアルミナが含まれおり、明確に別モノです。

ひとたび差し替えが発生すると、廃棄物であれば施主→工務店→解体業者→産廃業者→最終処分場と多くの関係者を経て書類が戻ってくる手間も起きます。分析作業という専門分野に気をとられて、試料名の確認が抜けないよう、営業部門としても心掛けて参ります。

 
 2020/02/15   (07/52週) ダクト系とダクト径
局所排気装置や集じん機、空気清浄機にまつわる用語。
どちらも耳で聞けば「ダクト・ケイ」のため、一瞬(どちらのことかな……?)と戸惑います。

ダクト『系』のほうは、ダクトの系統全体を念頭に置いた表現。

空調の世界にマルチタイプの冷媒配管があるように、局排でも複数のフード(塗装なら塗装ブース)が1本の主ダクトへ排気を合流させていき、1台のファンで屋外排気している場合が多いです。

そういった一連の設備を、フード単体で見るのではなく、系統でとらえて議論するときに「ダクト系としてはこうなっている」などと言います。

いっぽうダクト『径』のほうは、読んで字のごとく、ダクト(断面が円形のダクト)の直径のこと。

直径を意識するタイミングは、局排の自主検査というより、当初の設計段階がメインでしょう。数値のパラメータとして、円形ダクトの直径寸法(角パイプを採用するなら、相当直径に換算した数値)を使ったり、そのほか断面積の形で試算に利用する際、ダクト径は出番があります。

 
 2020/01/11   (02/52週) ろしべすと
「ろしべすと」は、現場の用語(愛称?)です。

普段、当社で扱う石綿(アスベスト)の含有分析業務は、建材のアスベストと空気中のアスベストに大別されるのですが、「ろしべすと」は後者を指します。

◆活用例
「明後日の○○会社様の現場に行く人、車に脚立は積むの?」
「積みません。『ろしべすと』ですから。」


当社のミーティングでは、2日先ぐらいの出張予定の社用車を配車します。「現場専用車」と「営業・現場兼用車」の中から割り当てられるので、長い脚立が積めない車種も混ざっています。互いのチームの仕事の案件をつきあわせ、車種を融通し合う必要があります。

石膏ボード・外壁塗材・軒裏(のきうら)など、建材に含まれる(かもしれない)アスベストの含有量を分析する際は、検体の採取時にやや高所の作業が含まれる場合も。いっぽう空気中のアスベストの場合は、地面(床)に三脚を立て、ポンプでろ紙に空気をくぐらせる作業ですので、高所は関係ありません。つまり、脚立は要らないのです。

ちなみに、スクレーパーやバットなど、手作業系の機材を積めばよい建材アスベストの仕事に対し、「ろしべすと」の場合はポンプや(現地の電源をお借りするなら)電源ドラム等を積み込むニーズが。脚立が不要な反面、機材の総量は多いかもしれませんね。

 
 2019/11/02   (44/52週) マウスピースと空気環境測定
ラグビーの試合を観ていると、選手がマウスピースをしているのがわかります。

これは身体接触によってくちびるを切ったりしないためのものですが、ほかにもマウスピースと言えば、歯医者さんで支給されるものもあれば、吹奏楽器で使うものもあります。
つまり、「違う業界で、違う目的のために」使われるものとして、マウスピースと呼ばれる共通のアイテムが存在しています。

これと若干異なる例として、空気環境測定があります。

人がそこで健やかに過ごすために、室内の空気の状態を測定するのが「空気環境測定」ですが、こちらにも代表的に3つの業界があります。

・労働安全衛生法(事務所衛生基準規則)に基づく空気環境測定
・ビル管法(建築物環境衛生管理基準)に基づく空気環境測定
・学校保健安全法(学校環境衛生基準)に基づく空気環境測定

いずれも「人がそこで健やかに過ごすため」という目的は同じ。この場合は「違う業界で、同じ目的のために」実施される行為の呼称、といえます。

共通するマストの項目は6項目(浮遊粉じんの量、一酸化炭素の含有率、二酸化炭素の含有率、温度、相対湿度、気流)ですが、基準値が少しずつ異なります。用途・延べ面積によって施設に適用される法律が異なり、また2重に適用される場合もあります。実務的には「辛い(厳しい)ほう」の基準で、施設が主体的に一元管理することになるでしょう。

 
 2019/08/24   (34/52週) 統一感の無い用語たち
◆発生源と発散源
作業場のどこに有害物質が陣取っているかを論ずるとき(図示するとき)、その位置のことを作業環境測定では「発生源」と言い、局所排気装置の点検では「発散源」もしくは「発生源」といいます。(テキストにも両方出てきます。)
なにかニュアンスの使い分けがあるのかもしれませんが、私どもは明確に知りません。

◆自然吸気と自然給気
作業場の壁の一部にガラリ等があって、反対側で排気をしているとガラリから屋外の空気が入ってきます。ガラリ自体にファンなどの動力があるわけでもないので、自然な気流であることを指して「シゼンキュウキ」と呼びます。(事例集に両方の漢字運用が見られます。)

◆成果物と成果品
調査結果の書類などに値段をつけて「これが成果物です」と表現することが一般で見られますが、こと官庁の請負業務ですと「成果品にはCDも付けること」などと使われます。(「ブツ」と言うのは、品が無いのでしょうか?)


 
 2019/08/03   (31/52週) スクリーニング調査
スクリーニングとは一般に、選別・ふるい分けのことを指すようです。
たとえば健康診断の項目である「便潜血」は、さらに精密な検査を要する人とそうでない人の選別(とりあえずの粗いふるい分け)を行なう意味で、「スクリーニング検査」に属するとのこと。

そもそも語源の「スクリーン」を、プロジェクターのスクリーン(シート状のもの)ではなく、メッシュ状(網目状)のものとして考えさえすれば、頭にイメージが入り易いでしょう。ふるい分けですから、網なのです。

これを背景にして、環境系の測定・分析の世界にも「スクリーニング調査」という表現があり、このたび当社でも身近な案件として、受託の機会を得ました。

ジャンルは、解体待ちの建物の建材アスベストに関するものです。
このお仕事のミッションは、「指定された検体のアスベスト含有分析を行なう」ことではなく、その前段階として「分析すべき検体が、どことどこに在って、合計何検体あるのかを調査・集計する」というもの。

このスクリーニングは、石綿作業主任者などの実務的な総合力が問われるお仕事で、携わる人の職業経験としては、ひとつの集大成といっても良い案件ではないかと思われます。

※画像は当社の室内エアコンのフィルター(定期清掃中)であり、記事の内容とは無関係です。

 
 2019/07/06   (27/52週) 工場換気の基本表現
工場換気、すなわち作業場内の空気を適切に維持することは、意外と難しい。当社も測定という切り口からこの分野に携わって勉強中ですが、その難しさの背景には大きく2つのことがあるようです。

1つは、空気が1立米あたり1.2kgもの重みがあり、(鳴門の渦を生む海水ほどではないにせよ、)流体として粘性を持っていることが、普段イメージしにくいこと。

もう1つは、換気や排気、気流といった単語が日常的な表現であるため、関係者の打合せで論点にズレが生じ、結果として「空気の流れ」に関わり切れていない傾向。

そのため単語については、下記のどの意味合いかを分類して意識すべきです。

イ.目的(=空気がどうなって欲しいのか)
ロ.方策(=その目的のために、どこの空気をどうするのか)
ハ.物理的現象(=意図は別として、空気がどうなるのか)

「換気」とは、作業場内の空気を入れ替えることで、新鮮な空気を維持すること(=目的)です。
一般に普及する換気扇とは、「換気をするファン」のことですが、やっていることは排気(=方策)です。そのことによって、ドアや窓のすき間、あるいはガラリからの自然吸気(=物理的現象)を誘発し、結果として「換気」(=目的)されるというわけです。

工場換気の世界では、「全体換気が行われていることを前提に、(有害物質がばく露した空気を作業場外に出すための)局所排気を行なう」というのがセオリーです。しかし換気と排気を共存させた場合、次の3パターンが起きうることを肝に銘じなければなりません。

1.換気(上部での排気)が、局所排気装置の行う下部での排気にとって『妨害気流』となり、双方の効果を打ち消し合う。
2.換気と排気がうまく立体交差して、それぞれが効果を生む。
3.換気目的の気流が、局所排気を助けて効果を上げている。

 
 2019/03/23   (12/52週) 縮分(しゅくぶん)
採取〜分析の前処理に関する用語。均等に混ぜるための手法。(「4分割して混ぜる」をくりかえすなど。)

土壌調査のほか、官庁のごみ焼却施設を対象におこなう「ごみ質分析」においても、この工程が登場します。(ごみを何立米も持ち帰るのは大変なので)

 
 2019/02/16   (07/52週) 土壌における「含有量基準」と「溶出量基準」
土壌に含まれる有害性物質の量を調査する際、「含有量基準」・「溶出量基準」という2つの尺度があります。

六価クロム化合物などの分析項目の多くは共通しますが、両者では基準量が異なります。法律の由来は、前者がドタイホウ(土対法=土壌汚染対策法)、後者がハイソウホウ(廃掃法=廃棄物の処理及び清掃に関する法律=略称:廃棄物処理法)です。

溶出量試験という試験方法は、廃棄物処理法独特の考え方で、「その土の中に有害物質があったとしても、水脈や降雨にさらされて湧き出ることがなければ(少なければ)、良しとしよう」という判定方法。サンプリングした土に(規定の手間をかけて)水をくぐらせ、その水の水質検査を行います。

ちなみに豊洲市場の移転について議論が高まった時期、「地下水の問題と土壌汚染の問題は別。地下水はポンプ・アップすれば済むことじゃないか!」との発言も出ていた記憶がありますが、まるで地下水と土壌では有害物質の出元が異なるような印象。ところが上記の2つの基準に親しんでおれば、実際はどうなのか察しがつくはずです。

 
 2019/01/20   スクレーパー
高校の英単語で「スカイ・スクレーパー(摩天楼)」というのがありました。
高層ビル群を遠方から見ると、「空を櫛けずるような」構造物に見えるのが語源でしょうか?

さて工具としてのスクレーパー、建築業界では床のピータイルを剥がすのに使ったりもしますが、私どもが常備しているのは柄の長いタイプではなく、写真のようなハンディ・タイプ。

この工具は、古い建材のアスベスト含有調査の際、現地で検体を採取するときに用いています。(ノミやタガネと違い、10cm角程度を採るのに手頃な幅)

正しい使用法かどうかは分かりませんが、作業時はハンマーでお尻を叩きます。その衝撃が繰り返されると、柄と金属部分をつなぐ目釘の部分が壊れてしまい、困っていました。
その対策として、技術部長の発案で、日本刀よろしく柄の部分にタコ糸をぐるぐる巻きにしてみました。効果があったようです。

 
 2018/12/09   測定項目と分析対象物質
水なり土なり空気なり、採取した検体の属性を調べる際、「何を分析するのか」という項目があります。これは料金の積算上も明確にすべき点です。

そんな項目を呼ぶ際、日常でも「分析項目」「測定項目」「検査項目」「分析対象物質」と、いくつかバリエーションがあり、それぞれ何を指しているのかは微妙に異なります。
仮に代表で「分析対象物質」と、それ以外を「測定項目」とし、両者の違いを整理しておきましょう。

水の分析で、俗称「ノルヘキ」という項目があります。これは略さずに言えば「ノルマルヘキサン抽出物質」。この項目は、上記のどちらでしょう?

ノルマルヘキサンとは、有機溶剤に属する物質で、これ自体は物質名です。しかしこの場合、「水の中のノルマルヘキサンの含有量を調べて下さい」と言われているわけではありません。もしそうなら、項目の分類は「分析対象物質」に。

しかし実際は、「採取した水に分溜を施し、水以外のノルマルヘキサン溶媒のほうへ溶け込んだ物質(いろいろな油分)の総量を測って下さい」という項目なので、これは「測定項目」のほうに該当するわけです。

カタカナの物質名があるから、即「分析対象物質」と思っていると、その検体のどういう属性を調べているのか、よくわかっていない……という状態になってしまいます。上記のような典型例以外でも、「どっちかな?」と立ち止まって考える必要があるかもしれません。

 
 2018/11/03   吹き出し
ボイラーの排ガス測定や、脱臭装置からの臭気測定の際に使う言葉。

ダクトの途中などにあるフランジ(測定口)から空気を採取するとき、外より中の気圧のほうが陽圧である場合を「吹き出し」といいます。
コックをひねると空気が吹き出してくるから、そういう表現をするのでしょう。

「あのお客様の設備、『吹き出し』だったっけ?」などと言って打合せます。
そうであれば、現地に持参する装備が少なくて済む場合があり、出張チーム間の配車にも影響します。
(例:大型ポンプを積まなくても良いのなら、軽ワゴン車で良い,etc.)

そもそもダクトなどは、空気を屋外に排出する経路。
それでも陽圧ばかりではなく、陰圧・ほぼジャスト……等、測定する立場から見たコンディションはさまざまです。


 
 2018/09/29   ショケン(初見?/初検?)
楽器演奏の世界で、初めて見る楽譜を「初見で弾く」と言うように、作業環境測定でも「ショケンで測る」という現場表現があります。
(今日のサンプリングは、ショケンだったから緊張した……,etc.)

ショケンにどんな漢字を当てるのかは不明。そして、下見なしでも下見を伴っても、どちらもショケンといいます。

ショケンには、作業者様とのご面識や現場に不慣れであること以外にも、緊張を伴う要素が。

2回目以降の測定は、(当日の測定員が初当番であったとしても)前回の報告書を野帳(やちょう:現地で生データを筆記する台帳)として使えるので、風向・風量の測定ポイント等も踏襲して行えます。ところが平面図が白紙からの実施となると、「今後これが踏襲される」というプレッシャーのなかで記録しますし、付帯設備の有無の見落としも避けなければなりません。

そのためショケンは、がぜん気分の高まるミッションなのですが、測定とはショケンだけを注意して行えば良い……というものではありません。その後の定期的な測定においてこそ、新たな健康障害リスクにつながる環境の変化に気付くよう、都度ゼロベースで見直す発想も持ち合わせてのぞみます。

 
 2018/09/01   吸着管と検知管
吸着剤(狙った分析対象物質を選択的につかまえてくれる成分)を管に入れたものが吸着管。それに目盛まで付いているもの(変色するのを利用し、ラボで分析する手間なく濃度のわかるもの)を検知管といいます。

検知管は、温泉宿の経営者の方が硫化水素の自主検査の際に使っておられたりします。

昔の水銀の体温計のような管の、両端のガラスを折って密封を開放し、水鉄砲のような機器を用いて「押す」のではなく「引く」と、管の中に規定量の空気が通過します。その際に吸着剤が反応します。

検知管の目盛には「0〜2.0ppm」などバリエーションがあり、思ったより沢山ばく露している現場に小さいスケールの検知管を持ち込んでしまうと、変色が振り切ってミスマッチとなります。

現場サンプリングの段取り的には、(その物質の)検知管が「手で引けば良いもの」「ポンプで引っ張るもの」、さらにはポンプの大きさ等のバリエーションがあります。


 
 2018/08/04   ブランク、コンタミ、とも洗い
依頼主様の施設から空気なり水なりを検体として持ち帰る際、その容器と採取方法には規定があります。

まず容器そのものには、材質や捕集量・遮光性の有無、運搬中の温度管理などにガイドラインがあります。
また、正しい容器であればいきなり現場で採取OKというわけではなく、その容器が「ブランク」であることが要求されます。

ブランクとは、測定・計量の業界では良いニュアンスの言葉であり、「(今回の)分析対象がゼロ基準(の状態)」を指します。
逆に「ブランクではなかった」とはどんな状態かというと、容器中に不純物が混入していたりして、計量が不正確になるコンディションを指します。このことを試料汚染(コンタミネーション contamination)といい、現場用語でコンタミと言います。

コンタミを防ぐために、よく行われるのが「とも洗い」。これは、容器の内壁を、あらかじめ「これから採取する検体と同じ成分」で洗う、という作業です。水を採るなら、その採りたい水を容器に少し入れ、シャカシャカと振って一度全部捨てる。それから本当のサンプリングを始めます。

 
 2018/07/08   「検体」「試料」「地点」と員数の関係
現場で採取され、分析対象となる空気なり水なり現物のことを、サンプルもしくは検体、あるいは試料と呼びます。
採取する行為はサンプリングとも言い、採取場所の立ち位置のことを地点、あるいはポイントとも言います。

いずれも業界用語と呼ぶほどでもないものですが、それらの員数的な関係には多少の専門性があります。

まず試料。これはイコール検体の意味合いで使う場合と、検体数と試料数を「1:多」の関係で見る場合とがあります。
関連法規あるいは依頼主の希望により、近い場所同士でサンプルを3つ取って分析した結果の代表的なものを「1検体」として報告する場合。この場合を「n=3」(呼称:えぬさん)と言います。1検体=3試料 というわけです。

また、地点数=5で検体数=7という場合。これは、同じポイントでサンプルを2回取る箇所が2つあるということです。

 
 2018/06/05   定性分析・定量分析
ある試料(サンプル)の中に、

目当ての有害物質が「含まれるか、含まれないか」の見極めを定性分析といい、

いざ含有していた際に、次の段階として「どのくらい含まれているか」のボリュームをつかむ分析を定量分析といいます。

これらの用語は石綿(アスベスト)の含有量調査でお馴染みです。